小規模企業共済とは?

小規模企業共済は、国が運営する小規模企業の経営者個人事業主向け退職金制度です。

資力の少ない小規模企業を国が支援する目的があるので、掛金を全額所得控除できるなどとても有利な制度設計となっています。

小規模企業共済の特徴

小規模企業共済の掛金は全額所得控除OK、加入後の増減もOK

月額の掛金は1,000円~7万円までで、加入後の増加・減少も自由です。

掛金は全額所得控除可能なので最大84万円の所得控除を受けることができます。

小規模企業共済の共済金の受け取り方法は一括・分割を選べる

共済金は役員の退任時や個人事業の廃業時に受け取ることができます。

受け取り方法は、一括でも分割でもOKです。

一括で受け取る場合は退職所得、分割で受け取る場合は公的年金等の雑所得となります。

退職所得、公的年金等の雑所得は税率が低いなど税制上優遇されているので共済金を受け取る際にも税制上のメリットを受けることができます。

小規模企業共済は低金利の貸付制度を利用できる

小規模企業共済は退職金制度ですが、実は掛金の範囲内で年1.5%の低金利の貸付金を受けることができます

経営者や個人事業主は、事業運営上、急な資金需要が生まれやすいので、様々なケースに対応した貸付金制度があります。

小規模企業共済の貸付制度

・一般貸付制度
・緊急経営安定貸付け
・傷病災害時貸付け
・福祉対応貸付け
・創業転業時・新規事業展開等貸付け
・事業承継貸付け
・廃業準備貸付け

小規模企業共済は任意解約すると返戻率が100%を下回る場合がある

小規模企業共済は退職金制度のため、法人の役員が退任した場合や個人事業者が廃業した場合に共済金が支給されますが、任意での解約も可能です。

ただし、退職時の支給を高めに設定する代わりに、任意解約の返戻率を抑えており20年未満での任意解約の場合は掛金の返戻率が100%を下回ります

小規模企業共済の加入資格

小規模企業共済は小さな企業を支援する制度なので、加入できるのは従業員数20名以下の個人事業主または会社の役員に限定されています。

 業種従業員数
1建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などの個人事業者または会社等の役員20人以下
2商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)の個人事業者または会社等の役員5人以下
3企業組合、協業組合の役員20人以下
4農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員20人以下
5弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員5人以下
6「1」と「2」に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)

まとめ

小規模な企業は退職金制度がないのが通常なので、老後資金の積立を国が制度を作って支援しているのが小規模企業共済です。

定期預金にお金を積み立てても所得控除はできません

また、民間の個人年金保険という商品もありますが、生命保険料控除として控除できる金額は年間4万円(旧契約は5万円)のみです。

定期預金や個人年金保険と比べると、積立額を最大84万円も所得控除できる小規模企業共済がとても有利な制度であることがわかるのではないでしょうか。