iDeCoとは?

iDeCoは国の制度を利用して自分で作る私的な年金です。

年金制度には、「国民年金」と「厚生年金」がある公的年金、大手の企業が実施する企業年金と、この自分で作る私的年金があります。

公的年金は、受給額の引き下げや受け取り開始年齢の引き下げが実施されています。「国民年金」の2020年の支給額は月額約65,000円です。特に自営業者の場合は「国民年金」だけですので公的年金だけで生活するのは難しい状況となっています。

企業年金は大手の企業にはありますが、企業年金制度自体がない企業も多くあります。

そこで、公的年金や企業年金を補う制度として私的年金があります。今までも、民間の保険会社が販売する個人年金保険がありましたが、国が進める私的年金制度としてiDeCoの制度が作られました。

iDeCoのメリット

掛け金は全額所得控除

iDeCoの掛け金は全額所得控除できます。全額所得控除ですので掛金分所得が少なくなることになります。通常の定期預金は税引き後のお金を預けますが、iDeCoの定期預金であれば税引き前のお金を預けることができることになります。

運用資産の運用益は非課税

iDeCoの掛け金の運用は証券会社で行います。通常、証券会社で行った投資の利益に対しては20.315%の所得税がかかりますが、iDeCoで発生した利益に対しては税金かかりません。売却益のほか、分配金、利息もすべて非課税となっています。

年金受け取り時にも控除が使える

最終的に年金を受け取るときにも有利な控除が使えます。

一時金として受け取った場合には「退職所得控除」が使えます。退職所得控除額は下記の算式で計算しますので、税金がまったく発生しない場合も多くあります。

退職所得控除額の計算

勤続年数(A)退職所得控除額
20年以下40万円 × A
(80万円に満たない場合には80万円)
20年超800万円 + 70万円 × (A - 20年)

また、年金方式で受け取る場合にも「公的年金等控除」という公的年金と同様の控除を受けることができます。

iDeCoのデメリット

原則60歳まで引き出せない

iDeCoは、通常の積立定期や投資信託と違って原則60歳までは引き出しできません。国が進める私的年金制度なので、税制上のメリットを受けることができますが、しっかり年金として利用することが求められます。

運用は自分で行わなければならない

iDeCoは私的な制度ですので、運用資産は自分で決める必要があります。ただ、各証券会社が元本確保型の定期預金を設けていますので、運用を考えたくない人は定期預金にすれば特に問題ありません

業種ごとに掛け金の上限額がある

国の制度ということで、業種によって利用できる金額に上限があります

自営業者は多くサラリーマンは少ない上限となります。自営業者は「国民年金」のみ、サラリーマンは「国民年金」と「厚生年金」を受け取れるので、公的年金受給額の少ない自営業者の上限が高く設定されています。

iDeCo掛け金の上限額

対象者上限額
自営業者年間816,000円
(月額68,000円)
会社員
【企業年金なし】
年間276,000円
(月額23,000円)
会社員
【企業年金あり
(確定拠出型)】
年間240,000円
(月額20,000円)
会社員
【企業年金あり】
年間144,000円
(月額12,000円)
公務員年間144,000円
(月額12,000円)
専業主婦(夫)年間276,000円
(月額23,000円)

iDeCoの節税金額の目安

下記は自営業者と会社員(企業年金なし)の場合の節税金額の目安です。収入が多いほど税率があがるので節約額も大きくなります

iDeCo掛け金の年間節税額

所得金額所得税+
住民税率
自営業者

掛金816,000円の場合
会社員
【企業年金なし】
掛金276,000円の場合
~195万円15%122,400円41,400円
195万円~
330万円
20%163,200円55,200円
330万円~
695万円
30%244,800円82,800円
695万円~
900万円
33%269,280円91,080円
900万円~
1,800万円
43%358,880円118,680円
1,800万円~
4,000万円
50%408,000円138,000円
4,000万円~55%448,800円151,800円

まとめ

iDeCOは国が進める私的な年金制度です。

自分で商品を探して自分で運用する必要があるので難しく感じますが、本文でも述べていますが定期預金も利用できます。定期預金であれば、「将来上がるかな?下がるかな?」などと考える必要がありません。

コツコツと銀行の普通預金に貯金している人は、その積立先を銀行の普通預金からiDeCoの定期預金に変えるだけで節税ができることになりますので検討してみてはいかがでしょうか。