青色申告特別控除はキャッシュアウトなしの節税方法
個人事業主は青色申告と白色申告を選択できます。
青色申告することによる税務メリットは多くありますが、個人事業主にとっての主なメリットは青色申告特別控除です。
事業所得は、事業で得た収入から必要経費を引いて計算しますが、青色申告の人は、さらに青色申告特別控除を差し引くことができます。
このため、青色申告特別控除は、キャッシュアウトがないにも関わらず必要経費が増加したのと同じ節税効果があります。
青色申告特別控除は55万円、65万円、10万円の3パターン
青色申告特別控除には55万円、65万円、10万円の3パターンがあります。
55万円の青色申告特別控除
55万円の控除を受けるためには下記の要件すべてを満たす必要があります。
- 事業所得または不動産所得を生ずべき事業を営んでいる
- 複式簿記により取引を記帳している
- 貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、控除を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出する
65万円の青色申告特別控除
65万円の青色申告特別控除を受けるための要件は、55万円の青色申告特別控除の要件に加えて下記のいずれかを満たす必要があります。
- 仕訳帳及び総勘定元帳について電子帳簿保存を行う
- e-Tax(電子申告システム)を使用して確定申告書の提出期限までに確定申告書を提出する
10万円の青色申告特別控除
10万円の青色申告特別控除は、55万円、65万円の青色申告特別控除の要件に該当しない青色申告者が受けることができます。
具体的には下記のような場合が該当します。
- 事業的規模以下の不動産所得
- 山林所得
- 複式簿記による記帳を行っていない事業所得
事業的規模とは?不動産の貸付の事業的規模はアパート10室以上、戸建て5棟以上
55万円または65万円の青色申告特別控除を受けるためには、不動産の貸付が事業として行われている必要があります。
事業として行われていない場合の青色申告特別控除は10万円となってしまいます。
不動産の貸付が事業として行われているかの判断は下記により行います。
- アパート、マンション等については室数10室以上
- 戸建ては5棟以上
これ以上の規模であれば、事業的規模として55万円または65万円の青色申告特別控除を受けことができることになります。
青色申告特別控除を受けるためには青色申告承認申請書を期限までに提出する必要あり
個人事業主は青色申告と白色申告を選択できますが、青色申告により申告するためには、青色申告承認申請書を期限までに提出する必要があります。
確定申告書を提出する段階で、青色申告か白色申告かを選択できるわけではないので注意が必要です。
新たに青色申告の申請をする場合は、その年の3月15日までに提出しなければなりません。
その年の確定申告書の提出期限は翌年3月15日ですので、1年前に提出する必要があることになります。
令和2年分の確定申告書から青色申告により申告したい場合
令和2年分の確定申告書の提出期限は?
→令和3年3月15日
青色申告承認申請書の提出期限は?
→令和2年3月15日
なお、新規開業した場合には、業務を開始した日から2か月以内に提出すれば開業した年から青色申告が可能となります。
まとめ
青色申告特別控除は、キャッシュアウト不要で節税できる優れた制度ですので、個人事業主であれば必ず利用したい節税方法です。
複式簿記による記帳がハードルとなりますが、事業の小さな段階であれば、それほど苦労なくマスターできるはずです。
会計事務所では複式簿記による記帳を必ず行いますので、会計事務所に任せて事業に集中するという判断もありといえます。